不動産物語

不動産売却について詳しく解説

格安リゾートマンション―購入時の注意点

近時、テレビ番組の影響などもあり、かつてのバブル時代のスキー場周辺などのリゾート地のマンションが数十万~数万円程度の破格の値段で売りに出されているケースがあります。

 

 

こうしたリゾートマンションはつい販売価格に目を奪われがちですが、注意すべきは管理費・修繕積立金、各種税金といった維持費です。

 

 

基本的にかつてのリゾートマンションは共用設備が充実しており、またホテル一体型でレストランなどの飲食店なども利用できたりしていました。

 

 

しかしこうした付帯的な共用施設も現在は利用されなくなり、かえって維持費がかさんでいるマンションが多いのです。築30年以上の激安マンションなどは、設備や内装が傷んでいるものがほとんどであり、その場合でも現況引き渡しとなり、補修費などが別途かかります。場合によっては毎月の管理費・修繕積立金が異常に高額になっているケースもあり、購入費用よりも維持費用の方が多くかかるケースもあるのです。

 

 

(これぞ、まさに負動産)リゾートマンションも老朽化は避けられません。マンション共用部分の維持管理はマンションの管理組合が行いますが、特に地方のマンションだと、管理組合(マンションの所有者は強制的に組合員になります)もうまく機能していないケースもあり、メンテナンスにおいて放置されていることもあります。

 

 

以前の所有者からの滞納管理費も滞っていることもよくあり、その場合、購入者が支払い義務を負うケースもあります。このようなマンションの場合、滞納者は意外に多いのです。通常、維持管理については管理費同様に毎月修繕積立金を所有者が払い、それが積み立てられますが、イザ修繕が必要になった時に、高額の一時的な修繕費を徴収されるようなケースもあります。要は、(共用部分を管理している)そのマンション管理組合の財政状態が悪化していることが原因となり、維持管理がうまく機能していない場合が多いのです。

 

 

マンションのような集合住宅の場合、専有部分は購入者の皆さんが各人でリフォームしたりできますが、共用部分は組合員となった管理組合の意思決定によって運営がなされるため、個人だけの意向で修繕やメンテナンスができないのです。

 

 

「マンションは管理を買え」とは昔からよく言われてきた言葉ですが、こうしたリゾートマンションを購入する場合には、購入時の価格だけに目を奪われることなく、マンション管理組合の財政状態や運営状態、その後の維持メンテナンスの計画を考え合わせた上で購入しないと、後々後悔することにもなりかねませんので、よく調べた上で購入を検討しましょう。

露天風呂の作り方、10万円以下で作る露天風呂?

田舎生活を始めようとする人の中には生活の中に露天風呂を取り入れたいと考える方が多数いらっしゃいます。

 

 

温泉地に程近いエリアの物件や温泉付き物件を購入するなり取得方法はあります(中古流通物件の場合、温泉権という期間限定の利用権が含まれる。期間が到来したら再契約。)が、自力で趣向に合わせた温泉を思い通りに作り上げてしまいたいと考えている人にとっても方法がないわけではありません。

 

 

そんな温泉なんて自分で作れるの?と疑問を投げかけられそうですが、心配は無用です。セルフビルドを前提に自分で作ろうというのであれば最低ライン10万円前後の予算で作り上げることができます。(専用の製作キットも業者から販売されてます)製作手順は以下のとおりです。

 

1設置場所の決定

 

この段階の注意点として、まず、他人の視線を受けやすい場所を避け、眺望のよい場所を選ぶことです。住宅に近すぎると、湯気や湿気が建物に一日中あたってしまい、建物寿命を短くしてしまいます。

 

 

2土台作り・コンクリートの流し込み最初に砂利を15から20センチ敷き、圧力をかけて基礎を固めます。この段階の作業はその後の土台作りのベースとなるので、しっかりと固めてください。

 

 

次にベニヤ板等で側面の型枠を作りながらコンクリートを流し込みます。約15センチほどの厚みになるようにしてください。鉄筋のワイヤーメッシュを使えば、さらに強くなります。コンクリートそのものは約一週間ほどで固まります。

 

 

3防水剤の塗布・モルタル敷き

 

コンクリートが固まった段階で、防水性を高めるために防水剤を塗ります。(このアスファルト防水の作業を怠ると湿気や冬の霜の原因になってしまいます)さらにモルタルを敷きます。

 

 

(これは次に岩をレイアウトする際の接着効果と防水保護のために行います)最後に、岩やタイル(皆さんの好きなかたちのものをいろいろ選んでください)を設置しますが、注意として「大理石」を使うと温泉成分と反応し、溶けてしまう性質があるので避けてください。

 

 

かつては温泉といえば病気のリハビリや慢性疾患の治療を目的とした湯治目的の人が大多数でしたが、近時では観光客の温泉ブームに乗ってストレス解消や娯楽で温泉に浸かりに来る人が増えました。

 

 

温泉の効能というのは、温泉成分を温泉に浴することで皮膚や粘膜を通したり、飲用による薬理作用が主ですが、水圧や温熱による物理作用効果もあります。「なぜ温泉で病気が治ってしまうのか」という病気治療効果の医学的原因は現代でも今だ解明しきれていない部分も多いのですが、昔の日本人は経験的に温泉の薬理作用を知っていたのでしょう。

 

 

ちなみに不思議な話ですが、治療に効く群馬のさる有名な温泉では糖尿病や更年期障害、慢性肝疾患はいうにおよばず、末期ガンや重度の原爆症患者すらも健康体にしてしまったといいます。

 

 

(日本国内には治癒効果の優れて高い「秘湯」が私が知るだけでも4ヶ所存在します)もちろん予防にも効きますが、基本的に温泉は泉質によって効果的に直せる病気が異なります。

 

 

炭酸泉や食塩泉は消化器疾患や便秘に良く効きますし、放射能泉は痛風やリウマチに良いといった具合です。もし皆さんがこうした病気治療を主目的とした田舎生活を考えているのであれば、各地の泉質を調べ、温泉質ごとの適応症を考慮しつつ選ぶと良いでしょう。

田舎暮らし希望者が農業を営むために、やり方と注意点

「田舎暮らしの楽しみは土いじりにこそある」とよく言われます。これから田舎暮らしを実践しようという読者の方々も自分の家の庭先で趣味の野菜作りを楽しみたい、といった方から大自然を相手に本格的農業に取り組もう、といったレベルの方まで様々かと思われますが、とにもかくにも規模はどうあれ農作物栽培をしたいのであれば、まずそれを栽培するための地面を確保しなければなりません。

 

 

「農業をするからにはまず農地を取得しないと」と通常の方は考えられるようです。「農地はほかの宅地と比べても安いらしいから、できればそこに家も建ててしまえば一石二鳥だ」という発想で農地取得を考えられる方も多数いらっしゃいます。

 

 

ただし、いっておきたいのですが、一般の素人にとって農地取得は非常に困難です。これまで農業に従事してきたという方はともかくとして、農地を農地として買いとって農業を行おうというのであれば、本格的な農業者資格を取得した上でないと一般の素人が農地を買い取ることはできません。

 

 

基本的に不動産は自由売買が原則なのですが、農地に関しては農地法という最大の売買規制法(法令制限)が存在します。これは本来的に農業に従事する意思のない者が安易に宅地への転用を目的として農地を売買することを防ぐ事をも目的としています。

 

 

農地法の本来の目的というのは日本の生産力を維持するためであり、それがため農地や採草放牧地は勝手に売買できないように許可制を敷いたのです。

 

 

(ちなみに農地法上の農地とは登記簿上の地目とは関係なく土地の事実状態で判断される。しかもここでいう事実状態とは一時的な状態によらず、休耕地は農地とされるということです。)

 

 

では、田舎暮らし初心者である素人には農業はできないのか、というとそんなことはありません。以上の話はあくまでも農地を買い取ろうとした上での話です。

 

 

田舎での暮らしを楽しみながら自宅で家庭菜園をする程度であれば、なにも許可は要りませんし、それで生計をなすというところまではいかずとも農作物栽培で自給的生活をしてみたいという方でも周辺農家の土地を借りてすれば十分できます。

 

 

将来的に農業就業を考えているのなら、今の段階で必要な農地を全て買い取るというところまではいかずとも、部分的に借りたりして農業者資格の資格取得に必要なだけの農地を確保すればイイのです。

 

 

要は一口に農業に取り組んでみたいという方であっても、個人個人の資金力やどの程度の規模、レベルでそれを行おうとするのかによって農用地確保の形態も変わりますので、まず自分達はどの程度の農業活動がしたい(現実にできうる)のかをはっきりとさせておくのが賢明です。

 

 

ただ、専業農家への転業を考えていらっしゃる方に対しては予め知っておいていただきたいのですが、現在の農業の水準はかなり高度化しており、それによってお金を回収し生計を成り立たせようと考えた場合、近代的な販売戦略とそれに応じた資金調達能力が要求されます。

 

 

「都会暮らしに疲れたから農業でもやってみるか」といった安易な発想ではほとんどのケースで失敗しているのが現実です。素人が新規に農業の就業者資格を取得するだけでも大変ですし、それで成功しようと考えた場合、よほど心してかからないと成功はおぼつかないでしょう。

 

 

また、基本的に田舎不動産は首都圏でイメージされるような住宅地の不動産よりもはるかに広いのが通例です。実際に物件を見てみるとわかりますが、居宅の庭先だけでもかなりな広さがあるため、家庭栽培のレベルでもちょっと工夫すればかなりなことができる事がわかります。

 

 

(下手をすると、物件によっては普段皆さんが住宅地の空き地で見られるような畑よりも広く、周辺環境・土壌等も農作物を育てるのに適した環境であることがありえます。)

 

 

繰り返しになりますが、本格的に生業として専業で農業を行おうというのならいざ知らず、ちょっとした自給自足を目的として田舎の自宅の庭先や借りている土地に趣味の樹木や農作物栽培する程度なら現実には許認可の問題ありませんし、純粋に田舎暮らしそのものを楽しみたいと考えているのでしたら、そうした肩に力が入らないぐらいの楽しみ方を想定しておくのが現実には一番良いのではないかと思います。

田舎で仕事をする。情報入手と仕事スタイル

田舎暮らしをするにあたって、とりわけ若い世代の永続的な移住者であれば現実的な生活基盤として、田舎でどのように仕事をしてゆくのかという問題があります。

 

 

特に生活資金に支障のない年金生活に入ったリタイアメント世代以外の方や週末だけの田舎暮らしを目的としている人であれば、そういった問題はないのですが、仮にそういった方々であっても、その土地で具体的にどのような活動や第二の仕事をしてゆくかということが老後のライフスタイル上、重要なテーマになってきます。

 

 

自分は基本的に何がしたいからこの地に移り住んだという方であれば特には問題ないのですが、単なる自然環境の良さや物件の安さに引かれて、明確な目的意識をもたずに田舎暮らしをはじめると、後になってこんなはずではなかったという状態に陥りかねません。

 

 

そこで田舎移住者の仕事の探し方と取り組み方を具体的に紹介しておきましょう。1田舎求人情報ルートまずは田舎で仕事を見つけるためのオーソドックスな情報ルートの紹介です。

 

 

一般的なのは情報誌の活用です。ここ数年で首都圏のサラリーマン世代の方でUターンの希望就職者が増加に伴いそうした情報媒体が増えてきました。「田舎暮らし」をテーマにした雑誌にも時折仕事探しに役立つ情報が織り込まれています。

 

 

インターネットで地方情報と同時に大まかな求人情報も入手することもできます。地方情報に関連したサイトも個人が主催しているものから大手企業のものまで無数にありますが、各地方自治体が開いているサイトが一番信用がおけます。

 

 

ハローワークではHPから全国各地の求人情報が取り出せます。首都圏に住んでいる方でもっと詳しい近時情報の入手や直接相談をしたければ、自治体が開設している事務所、ハローワークの管轄で地方ごとの人材Uターンセンターや都道府県事務所、各県のUターン窓口を利用すれば全国の求人情報を閲覧できましょう。

 

 

こうした機関では定期的にフェアも開催しています。特定の業種に限っての相談ということであれば、それに応じた相談機関も存在します。農業をやりたいというのであれば、全国新規就農ガイドセンターがありますし、林業なら全国林業労働力育成センター(全国森林組合連合会)、漁業を目的としているのであれば、沿岸漁業就業者確保育成センター(全国漁業協同組合連合会)があります。

 

 

各地方の伝統工芸にも産業支援のセンターが存在しますし、そうした窓口で希望の職業に応じた具体的な相談ができますから積極的に利用してみてはどうでしょうか。

 

 

例えば、田舎暮らしというと代表的なのは農業ですが、新規就農向けのバックアップ機関はいくつかあります。自治体の第3セクターを設け、農業の担い手を支援しようという研修や農地取得の斡旋の動きもありますし、就農準備学校といったものもあり、それを目指す人にとっては利用価値が大きいといいえます。

 

 

新規就農の相談窓口としては全国農業会議や都道府県・市町村が2、3年でプロとして独立できるような農業実務研修をやっています。農地の斡旋、融資相談にも応じてくれるケースもあり、農業経験のない人にとっても就農の道が開けています。

 

 

2近年の田舎移住者の生活スタイルこうした農業や林業、海洋漁業、酪農といった仕事は田舎でしかできないものです。都会環境ではそれをすることができないため、最近ではそうした仕事に就くために田舎暮らしをはじめる人もいるようです。

 

 

ただ、最近のスタイルとしてはむしろそうした仕事を副業に据え置いて、サラリーマンを続けつつ田舎暮らしに踏み切るというケースが一般的です。とりわけまだ十分働ける世代の永住希望者であれば、現実的な選択肢として、地方都市あるいは近郊の企業に勤めつつ、住まいは車で通える距離の値段的にも安い農村部に居を構える、という選択肢を取るケースが増えています。

 

 

最近の移住者の傾向としては、これまで培った自分の能力やキャリア、趣向に合った仕事に結びつけた地域貢献スタイルが一般的です。

 

 

意外に知られていませんが、地方就職には実は「公務員」という道もあります。これは各自治体によって違いますが、地方公務員でも中途の採用枠が出ることがあります。

 

 

基本的な職種は、大きく「事務職系」と「技術職系」とに分かれますが、どちらも相応の技術・キャリアを持った人であれば、待遇面でも納得のいく仕事は見つかります。

 

 

地元役場でも欠員募集をしている地域もありますし、そうした方向で住む地域を探してみるのも一つの方法かもしれません。

 

 

田舎というと職場においても「地元意識の強さ」や「地元のコネクション」が色濃く出るイメージがあったのですが、最近はUターンIターン組の転職者も多く、相当な立場の役職にも就くようになってきているため、かつてのような田舎特有のしがらみはこうした官の行政職でも薄らいできています。民間企業でも技術職で一定のレベルを持った方であれば、地方企業では引っ張りだこです。

 

 

情報処理に関わるシステム構築・ネットワーク技術の仕事キャリアを持った方であれば、相当な活躍ができるといえます。地方でも情報化・ネットワーク化は急激なスピードで進行していますから相応のレベルの技術をもっているような人であれば市場価値は高いものがあるのです。

 

 

一般的なサラリーマンでもそのスキルの高さに応じて、地方でも十分に通用します。相応のスキルのある方であれば、首都圏の企業で勤務するよりも地方企業での方が収入が上だったというケースもあります。

 

 

これはある意味で田舎でこそ仕事の需要があり、自己のキャリアが発揮できる状況なのだともいえます。例をとって金融関係の営業職などは外資系のファンド・クレジット・保険業が徐々に進出・浸透してきており、国内地方の富裕層に目を向けた営業活動を展開してきています。

 

 

そういった職種の仕事に携わってきた方であれば、不況の波を直接被らず、徐々に活性化の兆しを見せている地方こそが狙い目ともいえるため、新たな市場開拓にもつながるスタイルで営業展開できるのかもしれません。

 

 

その土地に貢献できるだけの技術なり商売のノウハウがあるのなら自営という選択肢もありえます。開業医や弁護士・会計士といった士業などはいい例ですが、その地に長くいるつもりなら自分の職業に合わせた目線で地域選択する目をもつことも大切でしょう。

 

 

場所を問わない職種の仕事(作家や芸術職、工芸家)であれば、住いが都会であろうと田舎であろうと関係ありません。都会の喧騒にいるよりはよほど静寂な環境を保てるため、むしろ田舎こそは最高の仕事場といえます。

 

 

アトリエや広い敷地を要するため田舎でないと難しいということもあり、現実に田舎暮らしを実践している方々で意外に多いのがこういったクリエイティブの職種の方々です。

 

 

こうした方々にすると、一方で限りなく自然環境と調和した居住空間を手に入れつつ、より高い収入を得られるだけの環境作りができるのだといいます。週末だけ自分の趣向にあった副業に励むために田舎に居を構える、というのでもいいでしょうし、職種や仕事形態によっては土地面積の広い田舎の方が適した運営ができることもあります。

 

 

今の段階では、田舎で仕事ができるという状況に移行するまでには数年先はかかるといった方であれば、そうした状況になることを前もって見越して事前に不動産だけでも手に入れておくことが望ましいのかもしれません。

 

 

可能性として、今なら余裕資金で買えたものが数年先には値上がりして買えなくなってしまった、ということもなきにしもあらずです。

 

 

3田舎での仕事のあり方が変わってきている?!

 

 

(最近の傾向)近年の田舎暮らしブームを後押ししているバックグラウンドにはインターネットを含めた通信環境・ネットワーク網の発達があります。こうしたネットワーク環境・インフラ・通信交通網も年を追うごとに整備され、さらにサービスそのものが高度化・拡大化・低料金化されてきているのはあえて説明するまでもないと思います。

 

 

こうした環境変化によって、仕事形態も変化してきており、従来の仕事そのものが場所を問わずにできてしまう方向に移行してきています。

 

 

個人事業の形態であるSOHOにみるように、ネットワーク環境が整い、多少なりとも独立した形で仕事ができる体制にある方であれば、日常的な仕事も物理的な環境にこだわらずに仕事ができてしまえるのです。アウトソージング化が進み、特に契約形態がフリーという立場で仕事をしている方であれば、すでに多くの方が実践しはじめていますが、要はデジタル化の波に対応できる仕事能力があれば、田舎住まいと同時並行で十分に従来の仕事ができてしまうということです。

 

 

仕事の形態にもよりますが、現在、組織に関わって仕事をしている方であっても、従来の首都圏集約型だった仕事形態は今後変わってゆく可能性が十分あります。というよりもビジネスそのものがネット利用を重視したものになってきており、それが国内・世界標準レベルで進んできている状況下では仕事空間がどこであろうと構わないのです。

 

 

いわば住まいとしても仕事場所としても、都市部に縛られる理由がなくなりつつあり、地域拡散が図られてきているのですが、こうしたスタイルの変化がこれまでできなかった一般人の田舎暮らしの実現を後押しし、加速化させているのだといえましょう。

 

 

こうした傾向は同時に田舎の産業の活性化・高度化につながってきています。基本的には昔から田舎といえば地場産業は土木建設業であり、今でも過疎地域ではそうした産業が主流です。

 

 

ただ、少し地方都市近郊に近いエリアに入ってくると状況がここ数年で一変してきています。有名なソフトウエア開発会社やネットワーク設計事業会社といった企業が入ってきたり、設立される中で、同時に人材の流動も盛んになっています。

 

 

農業の世界ですらバイオテクノロジー・ナノテクノロジーに絡むビジネスにまで繋げてしまうベンチャー企業が各地に登場してきています。かつてのような「田舎といえば雨天耕読」という捉え方ではひとくくりにできなくなってきています。

田舎の賃貸借、田舎物件をうまく探して安く借りる方法は?

田舎の空き家は地元でも一部の不動産業者は扱っていますが、一般には少ないです。可能性の高いルートは自治体の「空き家バンク」です。

 

 

これは不動産業者がほとんど存在しない過疎地で、定住を促進するために行なわれてきた取り組みで、近年は首都圏の市町村にも広がりつつあり、その数は全国で500近くあるといわれています。

 

 

注意したいのはこの「空き家バンク」はあくまで地域活性化の一環であり、自治体の不動産業務ではありません。しかしながら、ニーズに応えるため、HPを充実させる自治体も増えてきています。

 

 

近時の傾向としては不動産業者や宅建協会と連携する自治体も増えてきました。通常は登録制度を採用しており、利用する人の氏名、年齢、勤務先、家族構成などの個人情報を提供するもので、空き家の利用目的も記入します。

 

 

自治体は現地見学の日程を調整して、現地案内、所有者の紹介まではしてくれますが、契約に関わる仲介行為を行うわけではありません。

 

 

家賃など具体的な条件については所有者と利用者の双方で直接交渉することになります。そのため、場合によっては事後的なトラブルを避けるためにきちんと契約書を交わしておくのが望ましいやり方です。田舎地域では一般の物件の賃貸借とは違い、田舎物件特有の賃貸借のルールがあります。

 

 

さらには地域の特殊事情を考慮に入れておかないと、あとでトラブルの原因にもなってしまいかねません。そこで本章ではその辺りの事情と利用者側の対応策に触れてみたいと思います。

 

 

①一般的な賃貸借の知識 (都市部近郊、一般的アパートのケース)

 

イザ物件を借りるにあたって、借り手としてはどのような点に注意しておくべきなのか、また賃貸借における一般ルールをきちんと踏まえている人というのは意外に少ないのが現状です。

 

(ちなみに、賃貸借とは有償(賃料を支払う場合)のことであり、対してタダで使う事を使用貸借といいます)賃貸借に関してのトラブルはほとんどの場合、正規のルールをよくわかっていない借り手と貸し手との誤解から生じます。

 

 

これらは判断がつきづらい部分でもあり、明確なルールが一般に知られていないグレーゾーンの多い部分です。ややもすると客と客との間に入る不動産業者ですらその解釈を誤る可能性があるため、読者の皆さんとしてはこの機会に正規のルールを頭に叩き込んでおくといいでしょう。

 

 

まず、一般的な賃借物件の賃貸借におけるトラブルの一番多いケースとしては、借り手である賃借人が退去する際、入居時・引渡し時の修繕負担をどちらがどのように応分負担するかという点が問題になりやすいといえます。

 

 

一体どこまでを借り手である自分たちが負担し、どこからを大家である貸し手が負担するのか、という点については世間一般でも意外に正確な知識が知られていない部分です。

 

 

端的にいってしまえば、「賃貸借において通常借り手が使用する上で、発生する補修部分に関しては貸し手が負担するものだ」、と理解しておいてください。人によってはそうした費用は借り手である自分たちが負担しなければならないと、勝手に思い思い込まれている方が案外多くいらっしゃいますが、それは間違いです。

 

 

例えば老朽化が進んだときに雨漏りや害虫駆除といった面での費用が発生した場合にはその費用負担は原則的に大家である賃貸人が直す事になりますし、直さなければならないのが原則的な考え方です。

 

 

大家によっては引き渡し時の補修費を勝手に敷金から充当するケースがよくありますが、厳密にいうとこれは大家側が費用負担すべきものであり、借り手である皆さんの敷金から充当すべきものではありません。

 

 

(この敷金とはそもそも大家が借り手の債務不履行に備えた担保として預かっておくものです。もし賃料が未払いになっていたといったケースの場合であれば、明渡しが完了した時点で大家の判断で充当するかどうかを決めることになります。)

 

 

借り手の不注意で壊してしまった家財や設備の修復といったことならともかくとして、通常生活を営むのに必要な範囲内の修膳であれば、それは大家にとっての義務であると同時に、借り手側である皆さんの権利でもあるため、借り手側は自分たちから積極的に修膳を要求する事もできますし、借り手である賃借人が大家が修膳する前に自分で大工や工務店に修膳依頼し勝手に直してしまった場合であっても、修理のための「必要費(雨漏り等)」あるいは「有益費(壁紙の張り替え等)」として認められる範囲内であるならば、そのかかった費用を事後請求する事もできます。

 

 

(「必要費」であれば直ちに請求できますし、「有益費」であれば、賃貸借契約終了後に請求することになります)その他の賃貸借で発生しやすいトラブルは以下の通りです。判断基準を示しておきましたので、参考にしてください。

 

・宅地建物の賃料は月末に支払うのが本来の原則です。

 

・天災地変等の不可抗力で借りていた建物等が滅失したときには、滅失した部分の割合に応じた家賃の減額請求ができます。

 

・仲介業者が介入しないのであれば、契約書作成料は大家と借り手で折半することになります。

 

 

・賃借権の譲渡・又貸しは大家の承諾を得た上でOKです。 ただし、この場合大家は又貸し相手にも賃料請求ができるようになります。

 

 

②田舎物件の賃貸借の基本的知識 (農村部のケース)

 

田舎の住まいの求め方として、まず賃貸物件を借りて住んでみて、その上でその地域の購入物件を探してみるのが一つの買い方だということを説明しましたが、しかしながら、一般的に賃貸を目的とした田舎不動産というのは他の地域の外部者(都心部からの流入者を含む)にとって非常に借り難い性質の物件である、という実情があります。

 

実際に不動産屋を見て回ってもらえればわかると思いますが、扱っている物件のほとんどが売買の対象物件であり、一般的な田舎不動産と呼ばれる物件は賃貸ではほとんど紹介されていないことに気づかれるはずです。賃貸の物件供給そのものが、あまりに少ないためなのですが、その理由は以下の2点にありまます。

 

 

ひとつめの理由として田舎地域では賃貸を扱う不動産業者そのものの数が少ない(基本的に賃貸業者は家賃の1か月分を報酬として受け取ることになるため、ただでさえ家賃相場の低い田舎エリアでは商売として成り立たない)ことと賃貸物件の供給量そのものが少ないことに起因しています。

 

 

近時ではインターネットや各種情報誌、地元新聞等といったメディアを通して比較的簡単に賃貸でも物件情報を得られるようになってきてはいますが、そのほとんどが限定列挙されたものばかりで数にも限りがあります。

 

 

加えてこういった情報ソースからくる物件情報はあくまでも公開情報の二次的公開に過ぎません。もうひとつには、先祖伝来ゆかりの土地家屋をそうやすやすと他人には貸せないよ、という理由によるものです。リゾート地域はともかくとして、特に過疎地域というのはそうなのですが、居住者の平均年齢がかなり高齢化しています。

 

 

居住者の考え方も世間一般の考え方とは微妙に異なるルールによるところが多く、かつそれが長い年月にわたって守られつづけています。こうした古くからの田舎の居住者は先祖に対する畏敬の念もあって自分たちが引き継いだ住まいとしての家屋をそうやすやすとは人には貸せないよ、という考え方がとられています。人によって、もともとは善意で一般の人に貸したことのある大家さんでも、過去の借り手の人の使い方が粗雑で金銭面の支払いもいいかげんだったからということで、今では貸してくれなくなっているケースもあります。

 

 

さらには、家屋そのものがあまりに老朽化しすぎてしまい、人に貸せる状態ではない、ということも理由の一つになっています。これはとりわけ農村部の田舎物件ほど顕著です。

 

 

もう人の手の入らなくなってしまった物件であれば、蟲が巣食い始め、数百年の生活臭漂う廃屋に近い状態であることも珍しくはありません。

 

もともとが建築基準法の規制のない(あるいは規制の緩い)頃に建てられたものがほとんどですし、材質に関しても加工処理といったことはほとんどなされていません。持ち主にとっては家そのものの修復作業だけでも数十万円から数百万単位のお金が出ていってしまうため、仮に人に貸していくばくかの家賃がとれるようになったとしても、そうするだけの価値がないと考えてしまうのは必然です。

 

 

こうした閉鎖的、供給過小状態の田舎賃貸物件ですが、何とかうまく借りられる方法はないものか、というと実際のところないことはありません。

 

 

もともと賃貸物件を主体として扱っている業者が少なく、基本的に情報として表には出にくい賃貸物件ですが、借り手側からの積極的なアプローチでうまく賃貸物件を見つけることはいくらでも可能です。

 

 

田舎の地域の家屋所有者の中には一般に貸し物件としては出してはいないけれども、自分の知っている人間ならば貸してもいい、あるいは信頼できる人ならば貸したいという願望をもっている人が少なくありません。

 

 

不動産業者や自治体の機関への公開情報としては出てこなくとも、水面下にはけっこう供給貸物件があると考え、この地に住みたいという意思、希望を表し、地元住民に受け入れられる努力をすれば、案外すんなりと貸し物件を提供してくれるケースもままあります。

 

 

物件の持ち主側も本来は貸すつもりではなかったけれど、「この人ならいいか」ということで空家を提供してくれることもあります。

 

 

貸し物件を探すために不動産屋ではなく地元の人たちを訪ね歩いた方が効率的だった、という人もいますし、売却用に売りに出されている物件を賃貸に回してもらうように交渉を持ちかけてくるような人もいますから、努力次第で貸し物件は発掘できるという姿勢が大切でしょう。

 

 

本当に地域情報を得たければ、現地に赴いて情報入手するのが一番です。自治体を中心とした兼業で物件の斡旋業を営んでいる機関に直接赴いたり、自分でその地域の人とのコネをつくってしまうことです。これまでにも書いてきたように、田舎エリアでは地域のコミュニティを重視しています。

 

 

いきなり外部者が物件貸与を頼んだとしても、そう簡単に貸してくれるものではありません。まずは地域になじむ姿勢を見せることが先決だといえます。

 

 

自分の気に入った田舎エリアに住むことを目的とし、あえて家という形態にとらわれない人であれば、土地のみを調達することで田舎暮らしを実現させることはできます。

 

 

仮に家屋がなくとも、借地として土地だけを借りることができれば、住まい自体は自分で作ってしまうということもできるわけです。

 

 

時間と意欲があるのでしたら、ログハウスの組み立てキット(専門のスクールもあります)を使って自作のマイホームを作ってしまうこともできますし、中古のトレーラーハウスを買い取って一時的な住まいとして利用するという方法もあります。

 

 

どうにもお金をかけたくないというのであれば、廃材や古材、発砲スチロールやドラム缶を組み合わせて自作の家を作るような人もいます。

 

 

また、めったにあるわけではなく、不動産業者では一般に扱いませんが、地元役場や地元の人の口利きで、廃校になった小・中学校やバスや電車の旧車両を住宅代わりに貸すといった、一般の人には驚くようなケースもあります。

 

 

急に家屋を手に入れられなくともそういったレベルから地域とのコネができれば、徐々に賃貸家屋の情報も優先的に入ってきますし、場合によっては業者や地元ブローカーに流す前の売買の不動産情報を入手することもできるようになるでしょう。

 

③田舎不動産の賃料相場はいくら?

 

都心部では賃貸でも相場が明確であり、比較的システマティックな価格設定であるのが一般的ですが、田舎不動産のそれは都会ほど厳密な価格設定はなされていません。そもそもが田舎では比較対象となりうる賃貸物件の数そのものが非常に少ないために、おのずと価格の取り決めは貸し手である大家の判断にゆだねられることになります。とはいえ、売買物件も破格の安さなら、借りるのも破格の安さというのが田舎不動産です。大まかな目安として、奥深い農村地帯の貸家であれば、一家屋の一ヶ月の家賃が3万円~数千円というのはざらで、中には大家の意向で「タダで貸してもいいよ」、等という物件もあります。いってみれば大家の人柄と気分次第であり、対人間同士の交渉・好感度が如実に出る部分が強いといえましょう。ただし、修繕費に関しては家賃とは別に考えておくべきです。一般的な生活上の修繕は貸し手の負担であるということを述べましたが、もちろん田舎物件でも都市郊外からほど近い物件ですとか、リゾート地域周辺の物件であれば、原則的にはこのルールに基づいて判断していただいて差し支えないのですが、とりわけ奥深い地域での田舎不動産でこのルールをあてはめることはできません。このあたりが通常の賃貸借のルールを含めた田舎不動産の特殊な部分ですが、もとよりタダで貸してくれる、あるいは家賃は払えるときに払えるだけでいいよ、などという親切な大家に対して、そちらの負担できれいに補修したうえで貸してくれ、などというズウズウしい要求はなかなかできるものではありません。特に古い物件であればなおさらですが、おのずと田舎物件のケースでは補修は自己負担となります。借り手側の判断基準としては家屋の傷み度合いを考慮に入れながら、月の家賃と修繕費との兼合いで判断すべきでしょう。通常、田舎の不動産はリフォーム費用の方が多くかかります。以下で一般家屋物件の修繕ポイントを併記しておきますので参考にしてくださいくどいようですが、通常の物件賃貸で当たり前に考えられていることも、田舎不動産では通用しないことが数多くあるということを念頭においてください。実際に住む際には以下のような優先順位で修繕を行えば、ある程度快適に過ごせるはずです。・古びた屋根の取り外し・雨どいの取り外し(たいていはボロボロに腐っています。)・畳替え・便座の取り替え・浴槽の取り替え(設置工事が必要な場合あり)通常の中古住宅であれば、そこまでひどくはありませんが、地域によっては家そのものの築年数すらも正確にはわからなくなっているケースも多く、場合によっては家の柱の組み直し等も必要になってくる場合があるでしょう。自分でできないところは所有者の許可をもらって工務店や地元の大工に修繕依頼をするという方法もあります。(その場合は自己負担で!)

田舎不動産の売買契約について、実践的契約書の読み方

本章では不動産売買時の契約書(宅建業法上は37条書面と呼ばれる)について説明します。基本的に、契約当事者間でやりとりする金銭ルールの枠組みはこの契約書を取り結んだ段階で大枠が決まってしまいます。

 

 

先の重要事項説明書は購入契約前の物件そのものの判断材料として有効でしたが、ここでの契約書の役割は事後的なトラブルが起きたときに両者の負担割合をどう処理するかという点にも力点がおかれます。後々発生しかねない金銭がらみのトラブルを避けるだけでなく、不利な契約をしてしまうのを避ける意味においても本章を参考にしてください。

 

事前概略

 

まずは、契約書の内容説明に入る前に案外知られていない、契約上の業界実体と事前ルールについて説明しましょう。

 

 

契約を交わす際には、細かな点を無視すれば、全ての売買の取り決めがここでなされますが、実際のところこの業界では契約上のルールそのものが幾分あやふやになっている部分がいくつかあります。

 

 

契約内容に関わる解釈の問題一つにしても、意外にもプロである業者側がルールを勘違いしているケースが多々あり、それによって購入者と業者がトラブルを起こすケースも少なくありません。

 

 

記載事項は宅建業法上明確に定められていますが、細かな取り決めの部分では相当あやふやなことがなされてしまっているのが現状なのです。

 

 

本来であれば、皆さんには契約書面の内容について一字一句読みこなし、理解し、事後的なトラブルの一切起きない売買契約を完結させて欲しいところなのですが、現実には素人がそこまでやるのは難しすぎます。

 

 

最低限、以下の点に注意していただければ大きなミスのない契約ができるはずですから参考にしてください。契約書の書式は様々ですが、内容はほぼ一緒です。

 

①氏名・売買金額

 

売買契約書に記載される事項として、まず皆さんが目にするのは、売買の当事者双方の氏名と売買金額です。いくら素人の人であってもここを確認しない人はいないと思われますが、売買契約書の通例として、記載金額自体が漢数字(1000が壱千、200が弐百、30が参拾といったように)で記載されているため、普段それを見慣れない方にとっては一応の注意が必要でしょう。

 

 

購入物件に対してかかる消費税は建物のみで、土地に対しては課税されません。さらに本来課税対象の建物も木造であれば、築15年を過ぎると課税対象から外れるので要チェックです。

 

 

②手付金の処理と契約解除の関係

 

手付は売買価格の10%が普通です。業者が売主の場合には業者側は代金の20%以上の手付金を受け取ってはならないことになっています。

 

 

もし、皆さんが何らかの事情で売買契約の後に契約を破棄したいと考えたなら、買い手側は支払った手付金を放棄することにより、売り手側は受け取った手付金の倍額を返すことによって契約解除できるというのがここでいう手付解約です。

 

 

ちょっと法律的な面を説明すると、不動産売買における手付の性質は常に解約手付になります。手付の種類には他に証約手付(これだと放棄・倍返しによる解除ができない)というものがありますが、証約手付として支払ってしまった場合にも相手の売主が業者であれば皆さんが支払った手付は自動的に解約手付とみなされるため、業者が仮にそれを主張しても皆さんは解約手付として手付放棄による解除ができます。

 

 

この解約手付による手付の(買い手からの)放棄・(売り手からの)倍返しという考え方は相手への迷惑料という考えに基づいています。さらに、解除の意思表示はいつまでできるか、ということが実務上一番多いトラブルです。

 

 

一つケースを紹介すると、契約後引渡し前の段階において「もう買い手のあなたが中間金を支払ってしまった以上、契約解除はできませんよ。

 

 

契約書の上でも履行の着手があったときには契約解除できないことになってます」などと業者にいわれたら、皆さんはどう答えられるでしょうか?

 

 

本来この状態であれば買い手側からは解約できる、というのが正解です。しかし、皆さんが関わった業者が、タチの悪い業者であったり、売買の法的な理解の足りない業者であれば、こうした間違いを強要してくることが十分ありえます。買い手側の手付解約が可能なのは「売り手側が履行に着手するまで」です。

 

 

相手側(業者あるあるいは個人売主)が履行に着手しない以上は、手付を放棄することで解約できるというのが本来的な売買の原則なのです。

 

 

買い手の皆さん自身が契約締結後に中間金を入れようといれまいと、相手の売主が仮登記に応じた、あるいは物件の引渡しを受けた等の履行の着手におよんでいない限りは基本的にこの原則に立ち返って契約解除が可能です。

 

 

最近のお客さんはドライというのか、割り切りがとてもよく、契約後でも他にちょっといい物件が出てくるとカンタンに契約解除をしてきます。

 

 

「私はこの物件に出会うまで、もう3回も手付解約してます」といったお客さんもおり、手付解約なんのその、といった感じですが、これもやりすぎるとトータルの支払額で見れば損を出している場合がほとんどですから皆さんとしてもホドホドにすべきです。

 

 

一般的には契約時に「もしかしたら解約するかもしれない・・・」という気持ちがあるようなら手付を低めに入れておくのが得策です。逆に「この物件はなんとしても買っておきたい!絶対欲しい!」と思うのであれば、上記の範囲内で手付をたくさん入れておくことです。売り手がもしその契約を解除したくなったとき、その手付金と同額を皆さんに倍返しなければなりませんから。

 

 

③瑕疵担保責任・危険負担物件

 

購入後、もし欠陥が見つかったときに、売主・買主がどう金銭的な処理をするのかという取り決めが、ここでいう瑕疵担保責任であり、契約後引渡しまでの間に火災や地震等の天災地変が起きたときの取り決めが、危険負担です。

 

 

瑕疵担保責任では買主が瑕疵(欠陥)の事実に気づいてから1年間、もしくは引渡しの日から2年間まで(どちらになるかは契約上記載される)は責任追及できると覚えておいてください。危険負担は物件の引渡しまでの期間は売主が負います。

 

 

(民法上は土地建物の特定物について買主が責任を負う事になっているのですが、それでは実情に合わないため、修正されているのが通常です)書面を見渡して、何か不備がありそうなら、契約書の末尾にでも特記事項として修理箇所・条件等詳細の取り決めをしておくといいでしょう。

 

④ローン条項

 

田舎の中小業者から購入しようという場合に確認しておきたいのがこのローン(特約)条項です。これはつまり、買い手側の金融機関に対するローンの申し込みがもし通らなかったときには契約は白紙にします、ということを明記した保護条項です。

 

 

本来であれば、このローン条項には借入先の金融機関名、金利、期間を明記すべきなのですが、その契約をどうしても反故にしたくないという強引な業者だと、この条項部分を「当社紹介ローン」等というような書き方にしてしまう場合があります。

 

 

仮にこうした書き方がなされてしまうと、最初に申し込んだ一社のローンが通らなかった場合にもローン条項の適用による契約の白紙撤回をすることが困難になってしまい、ローン条項自体が事実上意味をなさないものとなってしまいます。

 

 

極論すれば、「契約が流れないように、どこでもいいからローンを借りさせてしまえ」という業者側の乱暴な手段だといえましょう。

 

 

皆さんが「それでもいい、とにかくローンを組める状態にして欲しい」というのなら別ですが、それでも金融機関が融資承認を下ろさないということは、当然、何らかの問題(本人の返済能力に問題があるとみたか、物件そのものの担保価値に問題があるとみたか)を含んでいますからその辺はよく吟味されることです。

 

 

通常はローン条項が設定される際には、借り入れ金額・金利・借入先・返済期間を明記しますから確認してください。

 

 

⑤登記簿に記載された事項の確認

 

契約直前の登記簿謄本との照合で契約内容を確認できます。通常仲介業者であれば、事前に謄本のコピーぐらいは用意しますが、もしないのであれば、要求すべきです。

 

 

(個人的に郵送でとることもできます)表題部で物件の名称と所在地、地目と地積が、甲区で所有権(所有者)が、乙区で所有権以外の権利についての内容がわかります。

 

 

この乙区に仮に抵当権がついていればどのように抹消されるのか、賃借権・地上権がついていれば、いつ外れるのかを確認してください。

 

 

抵当権は一般的には前所有者の住宅ローンの抵当権(これは買い手からの取得資金で残金決済時に同時抹消されるのが普通)であり、こういったものは珍しくないのですが、場合によって売り手の個人的な事業借り入れによるものだったりといったケースもあるのでその点の確認は必要でしょう。

 

 

不動産の売買契約は最低1、2時間はかかります。時に、あまりの退屈さと専門用語の難解さから寝てしまうお客さんもいますから注意したいものです。

 

 

変な業者になると、売って不安な物件をいかに安心して売り渡すかという技術に重点を置いた手続き処理をしてきますから、不安な部分があったら契約書に追加記入させたり、覚書を書かせるといいでしょう。

 

 

契約書面内容そのものが一般の素人の人には理解日常見慣れない理解しづらいものですが、上述した点をクリアしておけば大方の事後的トラブルは防げます。

田舎不動産の相場を知る。地元相場とは?値引きは可能?

田舎不動産には「地元値(地元相場)」という値段があります。これはその地域に長く住んでいる人、地元の人達から信用されている人等が、物件を紹介してもらう場合に、一般の人が購入するよりもはるかに安い値段で紹介してもらえる値段(相場)です。その土地の出身者であったり、ある程度その地域に馴染んでいる人や、地域住民住民同士で取引される価格は、都会の人には想像できないぐらい安いのです。

 

 

基本的には不動産というのは値引いて買うことができる商品です。あまり不動産売買の経験のない方だと、先入観として「不動産というのは売り出し価格そのままで買う商品なんだ」、という思い込みをされている方がいらっしゃるのですが、実のところそうではありません。

 

 

これは田舎不動産も例外ではなく、物件によっては大幅な値引きをいれて購入することも可能です。極論してしまえば、不動産の価格というのは「値段はあってないようなもの」だと考えていただいて結構なのです。

 

 

そもそもが流通不動産というのは定価性の商品ではありません。その性質上二つに一つとない商品であり、全く同じ商品物件・絶対的な値段というのは存在しないため、最終的には当事者間での合意に基づいた相対的な値段にならざるを得ません。

 

 

もちろん周辺相場に均した物件相場というものはありますが、それでも価格設定の段階でかなりの変動幅をもっており、且つ又、購入時期・シーズンによっても値段が変わってくるため、購入のタイミングというのも考慮すべき商品なのです。

 

 

(そうした意味では、いわば生モノに近い商品なのだといえます)とりわけ田舎不動産は売買事例そのものが少ないため、相場とはいっても不動産業者や売主の主観的判断が強く出た値付けがなされています。田舎物件の売り手側の事情としては、何らかの理由で現金化したい理由を持っています。

 

 

自分でやっている事業に失敗した(その多くは林業を主体とした地場産業)・子供の結婚資金捻出等といった理由により、今いくらいくらの資金が必要だから今手持ちの田畑や山林をいくらいくらで売ってしまおう(あるいは売りたい)という個人的経済事情が如実に反映された財産処分によるものがほとんどです。

 

 

リゾート地等の分譲物件で、売り手が業者であれば、決算期が近いからその前に在庫物件をはいてしまいたい等々といった事情の物件もあります。一般に買い手側は、仮にこの不動産を運用するとしたらいくらの賃料が取れるか(収益還元の観点)、あるいは新しく同様の住まいを建てようとした場合にいくらのコストがかかるか・周辺相場はいくらで動いているのか(再調達原価・取引事例の観点)といった視点で判断するのが通常であるため、特に首都圏の物件の場合には相場もシスティマティックに価格形成されるのが通常ですが、田舎物件の場合では上記のような売り手側の事情が加わってくるため、相場にバラツキが出やすいのです。

 

 

田舎不動産が交渉次第で値引きが可能な商品だということがわかっていただけたとして、もう少し、実践的なことをお教えしましょう。

 

 

皆さんが物件探しをしていて、気に入った物件が見つかり、それを不動産業者に伝えるとします。同じ手に入るなら、できれば安く手に入れたいと思うのが人情です。が、売る側(所有者)としてはやはりできれば高く売りたいというのが人情です。ここでは、・その土地の事を知り、きちんと物件案内を受けてから値段交渉に臨む・交渉値段の根拠を明確に提示するというスタンスで臨まれるのがいいと思います。先にも説明したように田舎不動産は相場を把握しづらい物件です。

 

 

明確な比較対象がない上、価格も流動的であり、おのずとそれを評価する人の立場や趣向の向き、物件認識力といった面に左右されます。一部のお客さんで、いきなり連絡を取ってきてまともに物件を見ずにいきなり値段交渉から入ってくるような人がいます。都会のお客さんで「もし値引いてくれて、○○万円になるなら物件案内受けてもいいよ」といった調子のお客さんです。

 

 

が、これはよくありません。まずは信頼関係を築いてからでないと地元相場に近い値段では譲ってはもらえませんし、業者や売主さんからも反感を買ってしまいます。まずはその土地のことを知ろうとする気持ちがないと駄目です。購入意思が固まり、いざ交渉で値引いてもらう理由としては、物件を見学した段階で家屋の修繕リフォームの要否、立地や住環境の良し悪しの面を根拠にしてもいいでしょうし、資金面での都合を理由にしてもいいでしょう。あえて根拠は言及せず、物件の総体評価から、気持的にこの値段で買いたい、といった理由でもかまいません。

 

 

要は購入意思と条件・その土地や地域への愛着を明確に提示することが大事なので、皆さん自身の価値観で評価した購入希望額を率直に伝えるのがいいでしょう。ではどの程度までの値引きなら可能でしょうか。これは地域相場の安定した物件で5%~10%、相場が不安定な地域や流通が停滞している地域であればもっと高い率での値引きも可能といえます。

 

 

一般の客さんの要求として非常識でなければ、業者側もちゃんと取り合います。特に現代のように空き家物件が溢れているような時代では買い手市場であるため、案外思い切った値段を提示しても、その要求がすんなりと通ってしまう事も珍しくないのです。皆さんも安い田舎物件をさらに安く取得できるようがんばってみてください。