不動産物語

不動産売却について詳しく解説

【不動産売却】パートナーには提案力と同時に問題解決能力が必要?





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不動産の高値売却を実現するパートナーには、提案力が求められると指摘しました。ただ、それだけでは不十分です。提案するだけなら、一定程度の知識さえ持っていれば不可能ではありません。

 

しかし不動産の売り手として、それだけで満足できるでしょうか。例えば、先ほどの中古ビルの例ではテナントが実際に入居しないことには収益ビルとは呼べません。絵に描いた餅に終わってしまいます。

 

また立ち退きを必要とする不動産売買では、立ち退きさえ済めばこれだけの金額で売却できるということは誰でも提案できます。

 

ここで求められるのは、実際に立ち退きを済ませることです。いずれも、提案するだけでは不十分です。その提案を実行する、それも自分だけで何か行動するわけでなく、テナントを引っ張ってくるにしても賃借人を立ち退かせるにしても、テナントや賃借人という第三者を動かす必要があるわけです。

 

それができて初めて、問題解決が図れます。提案を実行に移しマイナス要素の解消を図る問題解決能力。これこそ、不動産の高値売却を実現するパートナーには欠かせません。

 

ただそうは言っても、これまで不動産の売買仲介という業態にそれが求められてはこなかっただけに、提案力に加えて問題解決能力まで見込めるような仲介会社はそうはないのが現実です。

 

売買仲介の基本は、売り手側の情報と買い手側の情報のマッチングです。売り手側の仲介会社とすれば、顧客である売り手の立場に立ってできるだけ高値で購入してくれそうな買い手側の仲介会社と価格交渉するのが、高値売却に向けてやれることとして精一杯のことです。

 

不動産の売却希望と購入希望に関する情報力と価格交渉力で、同じ業界内の競合との差別化を図ってきたのです。しかしいまは、時代が違います。ITの進展で情報力だけでは差別化を図りにくい時代です。それでも、国が定める売買仲介の手数料上限は、現行の消費税率を前提にすると、売買代金の3・24%+6万4800円という水準です。

 

仮に売買代金が1億円であれば、仲介手数料の上限は330万円を超えます。いまの時代、これだけの額を要求するのであれば、不動産のプロとしてもっとやるべきことがあるはずです。

 

それが、ここでいう問題解決です。売り手側の立場に立って問題解決を図り、買い手側との価格交渉で決して足元を見られないようにする、そしてその結果として、高値売却を実現する、という考え方です。

 

ただ、問題解決に乗り出そうとする不動産会社がやれることは限られているという点には注意が必要です。非弁活動、つまり弁護士資格を持たない者が報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱う活動は、原則として禁じられているからです。

 

いくら問題解決能力があるからといっても、禁じられた非弁活動にまで手を出すような不動産会社をパートナーに選んでしまうと、それはそれでトラブルに巻き込まれてしまいます。

 

非弁活動か否かを争って裁判にまで発展するケースで目立つのは、立ち退き交渉を巡るトラブルです。賃借人との立ち退き交渉は基本的に「法律事件」に関する「法律事務」と考えられています。

 

したがって、これらのトラブルで問われるのは、報酬を得る目的か否かという点です。裁判例でもそこが判断の分かれ目になっているので、十分にご留意ください。