不動産物語

不動産売却について詳しく解説

【不動産売却】銀行系を頼りにするなら、価格の限界はあるのか?





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不動産という恐らく一般にはあまりイメージの良くない業界で一定の信頼を感じさせるのは、銀行系の会社かもしれません。

 

銀行系で不動産を取り扱う会社には、信託銀行もあれば、系列の不動産仲介会社もあります。いずれにしても、堅いイメージのある銀行系だからこそ、間違ったことはしないだろうという安心感を覚えるのでしょう。

 

確かに銀行系であれば、コンプライアンスが徹底されている企業グループの一員だけに、トラブルを引き起こすようなことはないと考えられます。

 

したがって例えば、自ら所有する分譲マンションの住戸を売却するような場合であれば、売買仲介を安心して任せられると思います。

 

これまでいくつかの例を挙げてきたなかに分譲マンションがなかったことからもお分かりいただけるように、マンションの住戸であれば一般にマイナス要素を抱えていることもありませんし、同じマンション内で参考にできる取引事例も見られるはずですから、おおよその相場観も形成されています。

 

中古売買の市場が比較的分かりやすい形で出来上がっているといえます。しかしここまで述べてきたように、売却しようとする不動産が市街地内のものであれば、そうはいきません。

 

何らかのマイナス要素を抱えている場合も少なくないので、高値での売却を目指す以上、そのマイナス要素をどうするかという課題と向き合わないわけにはいきません。

 

銀行系は、そこに弱点を持っています。そうした課題と向き合うことなく、マイナス要素を勘案した、決して高値とはいえない価格で売却しようとするのが、基本的な姿勢です。

 

余計なトラブルを引き起こす心配がないのは、売り手にとって不動産売却に何か課題があったとしてもその解消に決して動くことがないという基本的な姿勢の裏返しともいえます。

 

「この不動産は順法性に欠けるので、売却見込み価格は8000万円です」「この不動産はテナントがまだいくつか残っているので売却見込み価格は1億6000万円です」と、マイナス要素を指摘しながらも、それを踏まえた上での評価額しか示さないのです。

 

不動産売却のことを相談したり、その売買仲介業務を依頼したりする相手として安心はできても、高値売却は到底見込めません。

 

銀行系だけではありません。同じように信頼度の高さから、大手不動産会社系の仲介会社や、場合によっては弁護士やその知り合いの不動産会社に相談を持ちかける場合もあるでしょう。

 

しかしそこでも、不動産の抱えるマイナス要素を指摘された上で売却見込み価格を抑え気味に評価されるのがオチです。

 

マイナス要素をマイナス要素として認識・評価するだけなら、不動産のプロであれば誰でもできます。不動産の高値売却を実現するパートナーに求められるのは、それだけでなく、そのマイナス要素を解消するにはどうすればいいのかを提案する提案力です。

 

この提案力という点は、銀行系や大手に限らず、多くの不動産仲介会社に欠けている点です。第一章で紹介した東京都世田谷区内の中古ビルの例を思い出してください。

 

このビルは5000万円で売買されたものです。そこに、少し手を加えて売却見込み価格1億数千万円もの収益ビルとして生まれ変わらせようとしています。

 

私が購入してから手を加えてそれを実現しようとしているわけですが、いくらかの改修投資さえ可能であれば、購入前のビルオーナーでも同じことができるはずです。

 

中古ビルの価値をこれだけ引き上げることができるのも、提案力で勝負しているからです。具体的にいえば、商業地としての恵まれた立地条件を踏まえ、築50年近い中古ビルではあるものの、それをそのまま残し収益ビルとして売却する方針を取ったこと。

 

さらに、ビルの収益性をできるだけ高くするような改修工事を実施したこと。そして、賃料負担力のあるテナントを引っ張ってくることのできるテナントリーシングに長けた信頼できる専門家の協力を得るようにしたこと。

 

これらの提案の積み重ねが、中古ビルの価値を約3倍に引き上げることを可能にしているのです。これらの提案には副産物もあります。

 

中古ビルを調べていくと、1階部分は外壁の内側にもう一枚、壁を設けていたことが分かったのです。収益ビルとして賃貸していく上では、この壁は必要ありません。

 

壁を取り除いてしまえば、ワンフロア約9坪の賃貸面積を約1坪にまで増やすことができます。約2坪といえども、坪当たり月額賃料を3万円と見込めば、月に6万円、年間で72万円の差です。

 

これは決して小さな数字ではありません。収益性を高めれば、相続税対策の商品として売却できるという算段です。もちろん、この中古ビルには土地の測量を問題なく済ませなくてはならないという課題もありましたが、それも当然、済ませています。不動産のマイナス要素を解消した上で、その立地に見合う適切な商品化ができれば、価値を大きく高めることができるという好例です。

 

不動産のマイナス要素の解消を図るにどうすればいいかを提案してくれる。不動産の売却仲介を持ちかける不動産のプロには、そうした提案力が必要とされます。パートナー選びでは、その点もチェックするように心掛けてください。