不動産物語

不動産売却について詳しく解説

隣地を取り込むことで不動産の価値を引き上げる既存不適格にも活路がある?





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不動産の価値を押し下げる要因の一つに、既存不適格という建物の状況があります。

 

これは、現行の法令に照らして適合していない状況を指します。例えば容積率の面で現行の法令に適合していなければ、それを現行の法令に基づき建て替えると、建物の延べ床面積がいまの建物に比べて減ってしまうという事態が起こり得ます。

 

床面積100の建物が同80の建物になってしまっては、その不動産の価値は5分の4になってしまったに等しいと考えられます。

 

なぜこのような既存不適格が起こり得るのでしょうか。一つは、時代の移り変わりです。用途地域容積率といった都市計画上の規制は定期的に見直されますから、一つの敷地に対するそれらのルールも変わり得るのです。

 

場合によって、ある時期までは容積率として400%が指定されていたのに、ある時期からは300%に引き下げられてしまうということも起こります。このように指定容積率が以前に比べ小さくなってしまった場所では、建物はそれまでより小さな規模でしか建て替えることができません。

 

それによって、老朽化していながらもなかなか建て替えに踏み切ることができない分譲マンションも少なくありません。もう一つ、土地所有者が自ら既存不適格をつくり出してしまうこともあります。例えば、建物の敷地内に広い駐車場を抱えているようなとき、その駐車場部分を一部も第三者に売却処分すると、既存不適格になりかねません。

 

駐車場部分まで含めて建物の敷地であれば、その一部を売却処分するということは敷地面積を減らすことになるからです。

 

敷地面積が減れば、適用容積率が変わらないなかで建設できる延べ床面積も本来減るはずですが、まさか駐車場部分の売却処分に併せて建物を一部だけ取り壊すわけにもいきません。

 

駐車場部分が敷地面積に組み込まれているという認識がなければ、そこだけ切り出して売却処分する問題性に気付くことさえないでしょう。

 

何よりまず、既存不適格を自らつくり出さないようにするのが、鉄則です。しかしそうは言っても、最初に挙げた都市計画の見直しが原因で既存不適格になってしまう場合もゼロではありません。

 

ただそういう場合にも、活路は見出せます。それはやはり、周囲の土地を取り込むことによって、既存の建物と同程度規模以上の建物を建設できるようにすることです。

 

土地の取り込み方によっては、前面道路の幅員を広げることができたり、斜線制限や日影規制の掛かり方を緩めたりすることで、周囲を取り込んだ土地にはそれまで以上の容積率が適用されるようになる可能性も見込めます。周囲と一体になることによる不動産の価値の引き上げを、ぜひお考えください。