不動産物語

不動産売却について詳しく解説

どうやって選別する?田舎物件の選び方!





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皆さんが田舎不動産を評価する際、どういう物件を選んだらいいのか、また、自分が選ぼうとしている物件が売出し価格に照らし合わせてはたして買い得な物件といえるのかという判断は難しいのではないかと思います。

 

そこで本章では、一般の素人の購入者が気づいているようで気づいていない売買不動産物件の評価の共通チェックポイントを紹介してゆきます。

 

 

1 基本的な視点

 

一口に田舎不動産とはいっても、その選定法・評価の仕方は様々。とりわけ田舎物件は、購入者側の個人趣向や価値判断にバラツキがでやすい商品です。

 

 

まずはオーソドックスな観点から田舎不動産の購入判断基準は何かといえば、それは第一に「土地で選ぶ」ということがまず挙げられます。

 

 

これは田舎不動産に限らず、首都圏内の一般一戸建物件を選定する際の最大のチェックポイントでもあります。都心部のそれとは違い、田舎地域の不動産流通市場では民間のマンション・公団公社供給はほとんどありません。

 

 

実際に田舎不動産を見て回ってもそれはわかると思いますが、基本的には土地取引が中心で上モノとして家屋があったとしても、それ自体の評価は低く、ローンを組む際の担保価値もほとんどありません。

 

 

素人の購入者であればあるほど、物件見学の際にはどうしても土地以外の家屋部分に目がいってしまいがちですが、本当に見ておくのは建物が建っているその立地と周辺環境です。

 

 

不動産が売りに出される際の売り出し価格と現実の成約価格とは違ってくるのだ、ということは以前の章で書きましたが、築年数を経ている通常の田舎不動産を皆さんが評価する際には、土地値そのままがほぼ売買価格に反映されている、と考えていただいて差し支えないのです。

 

 

 

その上で物件の登記簿もしくは実測上の土地面積を坪数で割り出せば概算の坪単価がわかりますから、周辺の売買事例・平均坪単価と比較してみるといいでしょう。

 

 

繰り返しになりますが、家屋付き土地・更地流通が大半となっている田舎不動産を見る際には「上を見ずに下を見る」が最初の鉄則です。

 

 

2 利用状況・可能性のチェック

 

売買の対象物としてみた際の田舎不動産を評価するポイントとしては、以上のように価格と土地の坪単価を比較するだけで構わないのですが、さらに住まいとしての利用度を重視し総合評価するのであれば、第二の視点として建物評価と生活の設備状況を含めて考える必要がでてきます。

 

 

上モノが存在する購入対象物件を現状そのままで使う場合であっても、注意すべきは水の供給、電気、便設備とった最低限の生活インフラがどの程度整っているか、もしくはどの程度の費用で整うのか?の確認です。

 

 

購入当初はこの程度の住居設備でいいやと思って購入した人でも、いざその物件に住み始めて みると、「やっぱりこういったものが欲しいな、ここがこうなっていればなあ」と徐々に要求が広がってゆくものですし、実際にそういうお客さんは少なくありません。

 

 

過疎地域といわれるエリアでは浄化槽の利用を含めても水洗化されている地域は思った以上に少ないのが現状です。水道設備がないのであれば、井戸や沢水を含め、水の確保をどうするかを考えなければなりませんし、電気の通じていない地域であれば、その引き込みをどうするかの対策を講じねばなりません。

 

 

基礎部分から建物自体の修繕をどの程度やるかの問題もありますし、敷地の進入路を確保することも必要です。個人の趣向や経済状況でその判断基準は異なってくると思いますが、以上の問題をクリアした上でトータルの費用・その後の管理維持費がいくらになるのかを念頭において判断すべきでしょう。

 

 

一般に田舎不動産の住まい作りはお金をかけようと思えばいくらでもお金をかけることができ、且つ節約しようとすればいくらでも節約できる性質をもっています。

 

 

工夫次第で自分のイメージに合わせた家作りができるのが田舎不動産の特徴なので、様々な角度から情報収集していけば、納得のいく住まい選びができるはずです。

 

 

永続的に住まうことを目的とした立地選びに関する一つのスタンスとして、アドバイスしておきたいのですが、いざ家を建てようとする際には既存の家屋とその周辺の立地状況をつぶさに観察しておくと失敗を免れることができます。

 

 

私(著者)であれば、農村周辺の物件であれば、農家跡地かあるいは現況の家屋が残っている土地に目を向けます。永住を前提とする場合には旧来からの周辺住民との人間関係が複雑なケースもありますが、たいてい農家物件というのは100年から200年といった長い年月を経て現在まで残っているためです。

 

 

自然災害の影響を受けやすい昔ながらの田舎環境にありながらも、そこに住居として残っているのであれば、日当たりや風通し、間取りや立地といった基本条件を含め、建物を建てる住環境としてほぼベストな条件を備えた立地であるのだと考えることができます。

 

 

土地の形質を考えればこれほど住まいして適当かつ安全な物件はありません。いわば、先人のノウハウをそのまま引き継いでしまうわけですが、実際に長くその土地に住んだことのない読者の皆さんが購入判断する上では、そうした視点を片隅に入れておけば立地の選定で失敗することはまずありません。

 

 

(旧家屋の場合、現実にはそのままでは住まいとして使えないケースがほとんどですから、いずれ家そのものは解体・修繕するとしても、下手に素人がわけのわからない田舎の更地や山林物件を購入するよりはよっぽどまともな結果が得られるはずです)

 

 

3 田舎家屋の特徴と現実的な住まい方

 

さらに上モノとなる物件の選び方・家の建て方に関してお教えしましょう。数多くの田舎不動産物件を見てきた方であれば、それと気付かれるのですが、田舎の中古家屋というのは都会の既存のそれとは建物の基本構造が異なっています。

 

 

特に雪国地域の物件では重量の重い屋根、さらに建造物そのものを支えるための梁・柱がかなり太いというのが特徴であり、現代建築の柱よりも一辺が倍以上あるのはめずらしくありません。(現在ではそうした旧来のものに相応するだけの部材を切り出すのはほぼ現実には不可能です。

 

 

その意味で大変な希少価値のあるものが多いといえましょう)家屋内部の部屋数も床面積も現在の一般住宅とは比較にならない広さのものがかなりあります。旧家屋といわれるような物件であれば、現在の8LDK~12LDKといった広さを誇る物件も珍しくありませんし、一般的な農家物件であっても今の一戸建て物件と比較して相当なスペースを保持しているものがほとんどといっていいでしょう。

 

 

もともとが大家族を前提とした家族形態の住まい造りがなされていますし、本来旧家の日常の慶事(葬儀・婚礼を含む)を執り行なうのに応じたスペースの確保が必要とされたからです。

 

 

物件によっては囲炉裏等の当時の生活様式を偲ばせるのも残された物件が多いため、その趣味のお客さんには人気があるのは確かです。ただしこうしたプレミア的な側面がある反面、実際上現代の居住者が住もうとすると数多くの問題点が出てきます。

 

 

これまでにも紹介してきたようにこうした古屋物件の場合には建物の付帯設備、生活に最低必要な電気・水回り等のインフラ設備が十分に整っていないケースが多く、まずその面での工事・修繕が物件の程度によって必要になってきます。

 

 

さらに田舎物件の現代建築と比較した最大の特徴は何かというと、「気密性が極端に低い」という点なのです。住居そのものに隙間があちこちにあるのはあたりまえで、年数が経ったものであれば、トイレや風呂が野外にあるような物件も珍しくはありません。

 

 

基本的に外壁構造も外気との遮断性があまり重要視されておらず(旧来の習慣でプライバシーを重視しないつくりになっているためもある)、現代のように室内温度調整が行き届いた形態に近づけようとするとかなり厳しいものがあるといえます。

 

 

旧来の家屋を購入し、そのままの状態で何の修繕や手立てを打たないまま住み始めようとすれば、まず間違いなく蟲の被害にも悩まされることでしょう。

 

 

とりわけ都会のマンションのようにプライバシーや防犯面を含めたセキュリティが完備された住居に長年住んでいた方がイザこうした田舎物件に住み始めた場合、大きくギャップを感じるのはこうした点のほうが大きいのです。

 

 

 

お客さんの強い要望(その多くは昔ながらのライフスタイルへの単なる憧れ、と私は解釈していますが)でそうした物件を案内するケースもありましたが、旧家屋や農家物件を選ぶ場合には、本当に田舎での住まい方・その生活形態を理解していないと、その後の計画変更を余儀なくされるか、長くその地に住むことに抵抗を感じるようになってしまいます。

 

 

いわばこうした文化遺産的住居に自分も一度は住んでみたいという気持ちもわからなくはないのですが、全くの田舎未経験者の場合にはそこに住み慣れるまではある程度の気密性が確保できる修繕作業を行った方が実際のところ賢明です。

 

 

4 買ってはならない田舎物件?購入チェックとその対応策

 

旧家屋あるいは田舎の農家物件を購入するにあたって、建物の全体構造の観点から修繕費用との比較においてどの程度の物件であれば購入の判断すべき(一般にこれなら購入してもよいと思われる)のかを紹介しておきます。

 

 

まず、戦後の築年数の浅い物件で、水周りの改装程度や外壁の亀裂程度であれば、十分修復は可能ですし費用もそうたいしてかかりません。住まいとして考える上でその程度は問題ないでしょう。

 

 

田舎物件のような古い家屋で注意深く見ておきたい点として大きくは3つのチェックポイントがあります。一つには土台のチェックです。案外見過ごされがちな点ですが、一般的な旧家では家そのものが一方向に傾いているものが多く見受けられるのです。

 

 

こういう家の場合、修繕は少し大掛かりになってきます。まず土台を上げて(その際には大型ジャッキ等を用いる)、コンクリートを打って高さ調節するなり、布基礎に作り替えるなりしなければ直せません。

 

 

傾き度がかなり進んでしまっている場合にはそのままでは通常使用には耐えられないでしょう。もう一つには屋根の点検で判断すべきです。

 

 

屋根自体が崩落していたり、雨漏りしているような状況になっているものについては、家の腐蝕を加速させ、修復そのものに手がつけられないほど家屋全体に影響を及ぼしている状態になっているものがほとんどです。

 

 

そうした物件の場合には、もはや購入そのものをあきらめるか、家そのものを完全に取り壊して新たに立て直す方向で購入を検討すべきです。

 

 

最後には水源の調達に関することです。田舎物件は圧倒的に未造成の土地ばかりです。都心部にすみなれた人の認識ではトイレは水洗で蛇口をひねれば水が出るという感覚があたりまえになっているはずですが、田舎では必ずしもそうではありません。比較的郊外に近い水道が通っているような物件であれば問題はいりませんが、そうでなければ自分で井戸を掘るなりして水源を確保しなければありません。

 

 

井戸は重機(浅い地下水の場合)、もしくはボーリング工法(深い地下水の場合)で得ることができます。近年ではボーリング工法が主流であり、おそらく皆さんがイザ実際に井戸を掘ろうとすればこの手法を用いることになるでしょう。

 

 

費用は掘る場所の土地の性質、掘る深度、使用機器の種類によって異なってきますが、目安として30メートルから40メートルまで掘ると考えて100万円前後を想定しておくべきです。

 

 

ただ、どの程度まで掘れば水が出るのかはわからないため、地元の人や専門家に事前に相談してみるといいでしょう。岩清水、沢水、を汲んだりする場合でも、汚染の進んだ水源であれば保健所で水質を調べることができます。(費用は一回一万円前後が目安です)