不動産物語

不動産売却について詳しく解説

田舎の賃貸借、田舎物件をうまく探して安く借りる方法は?





スポンサーリンク


田舎の空き家は地元でも一部の不動産業者は扱っていますが、一般には少ないです。可能性の高いルートは自治体の「空き家バンク」です。

 

 

これは不動産業者がほとんど存在しない過疎地で、定住を促進するために行なわれてきた取り組みで、近年は首都圏の市町村にも広がりつつあり、その数は全国で500近くあるといわれています。

 

 

注意したいのはこの「空き家バンク」はあくまで地域活性化の一環であり、自治体の不動産業務ではありません。しかしながら、ニーズに応えるため、HPを充実させる自治体も増えてきています。

 

 

近時の傾向としては不動産業者や宅建協会と連携する自治体も増えてきました。通常は登録制度を採用しており、利用する人の氏名、年齢、勤務先、家族構成などの個人情報を提供するもので、空き家の利用目的も記入します。

 

 

自治体は現地見学の日程を調整して、現地案内、所有者の紹介まではしてくれますが、契約に関わる仲介行為を行うわけではありません。

 

 

家賃など具体的な条件については所有者と利用者の双方で直接交渉することになります。そのため、場合によっては事後的なトラブルを避けるためにきちんと契約書を交わしておくのが望ましいやり方です。田舎地域では一般の物件の賃貸借とは違い、田舎物件特有の賃貸借のルールがあります。

 

 

さらには地域の特殊事情を考慮に入れておかないと、あとでトラブルの原因にもなってしまいかねません。そこで本章ではその辺りの事情と利用者側の対応策に触れてみたいと思います。

 

 

①一般的な賃貸借の知識 (都市部近郊、一般的アパートのケース)

 

イザ物件を借りるにあたって、借り手としてはどのような点に注意しておくべきなのか、また賃貸借における一般ルールをきちんと踏まえている人というのは意外に少ないのが現状です。

 

(ちなみに、賃貸借とは有償(賃料を支払う場合)のことであり、対してタダで使う事を使用貸借といいます)賃貸借に関してのトラブルはほとんどの場合、正規のルールをよくわかっていない借り手と貸し手との誤解から生じます。

 

 

これらは判断がつきづらい部分でもあり、明確なルールが一般に知られていないグレーゾーンの多い部分です。ややもすると客と客との間に入る不動産業者ですらその解釈を誤る可能性があるため、読者の皆さんとしてはこの機会に正規のルールを頭に叩き込んでおくといいでしょう。

 

 

まず、一般的な賃借物件の賃貸借におけるトラブルの一番多いケースとしては、借り手である賃借人が退去する際、入居時・引渡し時の修繕負担をどちらがどのように応分負担するかという点が問題になりやすいといえます。

 

 

一体どこまでを借り手である自分たちが負担し、どこからを大家である貸し手が負担するのか、という点については世間一般でも意外に正確な知識が知られていない部分です。

 

 

端的にいってしまえば、「賃貸借において通常借り手が使用する上で、発生する補修部分に関しては貸し手が負担するものだ」、と理解しておいてください。人によってはそうした費用は借り手である自分たちが負担しなければならないと、勝手に思い思い込まれている方が案外多くいらっしゃいますが、それは間違いです。

 

 

例えば老朽化が進んだときに雨漏りや害虫駆除といった面での費用が発生した場合にはその費用負担は原則的に大家である賃貸人が直す事になりますし、直さなければならないのが原則的な考え方です。

 

 

大家によっては引き渡し時の補修費を勝手に敷金から充当するケースがよくありますが、厳密にいうとこれは大家側が費用負担すべきものであり、借り手である皆さんの敷金から充当すべきものではありません。

 

 

(この敷金とはそもそも大家が借り手の債務不履行に備えた担保として預かっておくものです。もし賃料が未払いになっていたといったケースの場合であれば、明渡しが完了した時点で大家の判断で充当するかどうかを決めることになります。)

 

 

借り手の不注意で壊してしまった家財や設備の修復といったことならともかくとして、通常生活を営むのに必要な範囲内の修膳であれば、それは大家にとっての義務であると同時に、借り手側である皆さんの権利でもあるため、借り手側は自分たちから積極的に修膳を要求する事もできますし、借り手である賃借人が大家が修膳する前に自分で大工や工務店に修膳依頼し勝手に直してしまった場合であっても、修理のための「必要費(雨漏り等)」あるいは「有益費(壁紙の張り替え等)」として認められる範囲内であるならば、そのかかった費用を事後請求する事もできます。

 

 

(「必要費」であれば直ちに請求できますし、「有益費」であれば、賃貸借契約終了後に請求することになります)その他の賃貸借で発生しやすいトラブルは以下の通りです。判断基準を示しておきましたので、参考にしてください。

 

・宅地建物の賃料は月末に支払うのが本来の原則です。

 

・天災地変等の不可抗力で借りていた建物等が滅失したときには、滅失した部分の割合に応じた家賃の減額請求ができます。

 

・仲介業者が介入しないのであれば、契約書作成料は大家と借り手で折半することになります。

 

 

・賃借権の譲渡・又貸しは大家の承諾を得た上でOKです。 ただし、この場合大家は又貸し相手にも賃料請求ができるようになります。

 

 

②田舎物件の賃貸借の基本的知識 (農村部のケース)

 

田舎の住まいの求め方として、まず賃貸物件を借りて住んでみて、その上でその地域の購入物件を探してみるのが一つの買い方だということを説明しましたが、しかしながら、一般的に賃貸を目的とした田舎不動産というのは他の地域の外部者(都心部からの流入者を含む)にとって非常に借り難い性質の物件である、という実情があります。

 

実際に不動産屋を見て回ってもらえればわかると思いますが、扱っている物件のほとんどが売買の対象物件であり、一般的な田舎不動産と呼ばれる物件は賃貸ではほとんど紹介されていないことに気づかれるはずです。賃貸の物件供給そのものが、あまりに少ないためなのですが、その理由は以下の2点にありまます。

 

 

ひとつめの理由として田舎地域では賃貸を扱う不動産業者そのものの数が少ない(基本的に賃貸業者は家賃の1か月分を報酬として受け取ることになるため、ただでさえ家賃相場の低い田舎エリアでは商売として成り立たない)ことと賃貸物件の供給量そのものが少ないことに起因しています。

 

 

近時ではインターネットや各種情報誌、地元新聞等といったメディアを通して比較的簡単に賃貸でも物件情報を得られるようになってきてはいますが、そのほとんどが限定列挙されたものばかりで数にも限りがあります。

 

 

加えてこういった情報ソースからくる物件情報はあくまでも公開情報の二次的公開に過ぎません。もうひとつには、先祖伝来ゆかりの土地家屋をそうやすやすと他人には貸せないよ、という理由によるものです。リゾート地域はともかくとして、特に過疎地域というのはそうなのですが、居住者の平均年齢がかなり高齢化しています。

 

 

居住者の考え方も世間一般の考え方とは微妙に異なるルールによるところが多く、かつそれが長い年月にわたって守られつづけています。こうした古くからの田舎の居住者は先祖に対する畏敬の念もあって自分たちが引き継いだ住まいとしての家屋をそうやすやすとは人には貸せないよ、という考え方がとられています。人によって、もともとは善意で一般の人に貸したことのある大家さんでも、過去の借り手の人の使い方が粗雑で金銭面の支払いもいいかげんだったからということで、今では貸してくれなくなっているケースもあります。

 

 

さらには、家屋そのものがあまりに老朽化しすぎてしまい、人に貸せる状態ではない、ということも理由の一つになっています。これはとりわけ農村部の田舎物件ほど顕著です。

 

 

もう人の手の入らなくなってしまった物件であれば、蟲が巣食い始め、数百年の生活臭漂う廃屋に近い状態であることも珍しくはありません。

 

もともとが建築基準法の規制のない(あるいは規制の緩い)頃に建てられたものがほとんどですし、材質に関しても加工処理といったことはほとんどなされていません。持ち主にとっては家そのものの修復作業だけでも数十万円から数百万単位のお金が出ていってしまうため、仮に人に貸していくばくかの家賃がとれるようになったとしても、そうするだけの価値がないと考えてしまうのは必然です。

 

 

こうした閉鎖的、供給過小状態の田舎賃貸物件ですが、何とかうまく借りられる方法はないものか、というと実際のところないことはありません。

 

 

もともと賃貸物件を主体として扱っている業者が少なく、基本的に情報として表には出にくい賃貸物件ですが、借り手側からの積極的なアプローチでうまく賃貸物件を見つけることはいくらでも可能です。

 

 

田舎の地域の家屋所有者の中には一般に貸し物件としては出してはいないけれども、自分の知っている人間ならば貸してもいい、あるいは信頼できる人ならば貸したいという願望をもっている人が少なくありません。

 

 

不動産業者や自治体の機関への公開情報としては出てこなくとも、水面下にはけっこう供給貸物件があると考え、この地に住みたいという意思、希望を表し、地元住民に受け入れられる努力をすれば、案外すんなりと貸し物件を提供してくれるケースもままあります。

 

 

物件の持ち主側も本来は貸すつもりではなかったけれど、「この人ならいいか」ということで空家を提供してくれることもあります。

 

 

貸し物件を探すために不動産屋ではなく地元の人たちを訪ね歩いた方が効率的だった、という人もいますし、売却用に売りに出されている物件を賃貸に回してもらうように交渉を持ちかけてくるような人もいますから、努力次第で貸し物件は発掘できるという姿勢が大切でしょう。

 

 

本当に地域情報を得たければ、現地に赴いて情報入手するのが一番です。自治体を中心とした兼業で物件の斡旋業を営んでいる機関に直接赴いたり、自分でその地域の人とのコネをつくってしまうことです。これまでにも書いてきたように、田舎エリアでは地域のコミュニティを重視しています。

 

 

いきなり外部者が物件貸与を頼んだとしても、そう簡単に貸してくれるものではありません。まずは地域になじむ姿勢を見せることが先決だといえます。

 

 

自分の気に入った田舎エリアに住むことを目的とし、あえて家という形態にとらわれない人であれば、土地のみを調達することで田舎暮らしを実現させることはできます。

 

 

仮に家屋がなくとも、借地として土地だけを借りることができれば、住まい自体は自分で作ってしまうということもできるわけです。

 

 

時間と意欲があるのでしたら、ログハウスの組み立てキット(専門のスクールもあります)を使って自作のマイホームを作ってしまうこともできますし、中古のトレーラーハウスを買い取って一時的な住まいとして利用するという方法もあります。

 

 

どうにもお金をかけたくないというのであれば、廃材や古材、発砲スチロールやドラム缶を組み合わせて自作の家を作るような人もいます。

 

 

また、めったにあるわけではなく、不動産業者では一般に扱いませんが、地元役場や地元の人の口利きで、廃校になった小・中学校やバスや電車の旧車両を住宅代わりに貸すといった、一般の人には驚くようなケースもあります。

 

 

急に家屋を手に入れられなくともそういったレベルから地域とのコネができれば、徐々に賃貸家屋の情報も優先的に入ってきますし、場合によっては業者や地元ブローカーに流す前の売買の不動産情報を入手することもできるようになるでしょう。

 

③田舎不動産の賃料相場はいくら?

 

都心部では賃貸でも相場が明確であり、比較的システマティックな価格設定であるのが一般的ですが、田舎不動産のそれは都会ほど厳密な価格設定はなされていません。そもそもが田舎では比較対象となりうる賃貸物件の数そのものが非常に少ないために、おのずと価格の取り決めは貸し手である大家の判断にゆだねられることになります。とはいえ、売買物件も破格の安さなら、借りるのも破格の安さというのが田舎不動産です。大まかな目安として、奥深い農村地帯の貸家であれば、一家屋の一ヶ月の家賃が3万円~数千円というのはざらで、中には大家の意向で「タダで貸してもいいよ」、等という物件もあります。いってみれば大家の人柄と気分次第であり、対人間同士の交渉・好感度が如実に出る部分が強いといえましょう。ただし、修繕費に関しては家賃とは別に考えておくべきです。一般的な生活上の修繕は貸し手の負担であるということを述べましたが、もちろん田舎物件でも都市郊外からほど近い物件ですとか、リゾート地域周辺の物件であれば、原則的にはこのルールに基づいて判断していただいて差し支えないのですが、とりわけ奥深い地域での田舎不動産でこのルールをあてはめることはできません。このあたりが通常の賃貸借のルールを含めた田舎不動産の特殊な部分ですが、もとよりタダで貸してくれる、あるいは家賃は払えるときに払えるだけでいいよ、などという親切な大家に対して、そちらの負担できれいに補修したうえで貸してくれ、などというズウズウしい要求はなかなかできるものではありません。特に古い物件であればなおさらですが、おのずと田舎物件のケースでは補修は自己負担となります。借り手側の判断基準としては家屋の傷み度合いを考慮に入れながら、月の家賃と修繕費との兼合いで判断すべきでしょう。通常、田舎の不動産はリフォーム費用の方が多くかかります。以下で一般家屋物件の修繕ポイントを併記しておきますので参考にしてくださいくどいようですが、通常の物件賃貸で当たり前に考えられていることも、田舎不動産では通用しないことが数多くあるということを念頭においてください。実際に住む際には以下のような優先順位で修繕を行えば、ある程度快適に過ごせるはずです。・古びた屋根の取り外し・雨どいの取り外し(たいていはボロボロに腐っています。)・畳替え・便座の取り替え・浴槽の取り替え(設置工事が必要な場合あり)通常の中古住宅であれば、そこまでひどくはありませんが、地域によっては家そのものの築年数すらも正確にはわからなくなっているケースも多く、場合によっては家の柱の組み直し等も必要になってくる場合があるでしょう。自分でできないところは所有者の許可をもらって工務店や地元の大工に修繕依頼をするという方法もあります。(その場合は自己負担で!)