不動産物語

不動産売却について詳しく解説

【不動産売却の税金】譲渡損が出た場合の損益通算





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Q.私にはバブル時代に購入した賃貸用のマンションがあります。この度この物件を売却することにしました。

 

大幅な損失となりますが、所得税の確定申告に際し、給与所得からマンションの売却による損失を差し引くことができますか。

 

A.個人が、土地や建物を譲渡して譲渡所得の金額の計算上譲渡損失が生じた場合には、その損失の金額を他の土地や建物の譲渡所得の金額から差し引くことはできますが、差し引いても控除しきれない損失の金額は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することはできません。

 

【解説】

所得税は、1年間のすべての所得に対して税金を課すものなので、各種の所得の損失額(赤字)を、他の所得が黒字といった場合に、その所得の赤字と他の所得の黒字を、一定の順序に従って差引計算をします。

 

これを「損益通算」といいます。

不動産の譲渡で発生した譲渡損失については、平成15年12月31日までの個人が所有する土地・建物等の譲渡については、分離課税の対象となる土地・建物等の譲渡による譲渡所得の金額の計算上損失の金額がある場合には、その損失の金額を一定の順序により他の譲渡所得から差し引くことができ、なお引ききれない金額がある場合には、損益通算としてその年中の給与所得や事業所得など他の所得から控除することができることとされていました。

 

しかし、平成16年度の税制改正において、平成16年1月1日以後の土地・建物等の譲渡については、原則として損益通算ができなくなりました。

 

分離課税の対象となる土地・建物等の譲渡による譲渡所得の黒字の金額から控除し、なお控除しきれない赤字の金額が残るときは、その赤字はないものとみなされ、分離課税の土地・建物等の譲渡による所得以外の他の所得の黒字の金額から控除することができなくなりました。

 

逆に、分離課税の対象となる土地・建物等の譲渡による所得以外の他の所得の金額の計算上、赤字の金額が生じた場合において、分離課税の対象となる土地・建物等の譲渡による所得の黒字の金額があるときにも、その赤字の金額はその黒字の金額から控除することができないこととされています。

 

つまり、土地・建物等の譲渡にかかわる譲渡所得の金額は、利益であっても、損失であっても損益通算ができないということです。

 

なお、居住用の不動産の譲渡については一定の要件を満たす場合に限り、譲渡した年における他の譲渡所得との通算や他の各種所得の金額との損益通算ができ、これらの通算をしてもなお控除しきれない損失の金額については、その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰越控除できるという規定があります。