不動産物語

不動産売却について詳しく解説

【不動産売却】不動産売却による利益を業者とシェアするのはありか?





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不動産業界は残念ながら、エンドユーザーにあまり快く思われていない節があるのではないでしょうか。

 

それは、エンドユーザーが後になって「だまされた」と、不信感を抱かざるを得ないような目に遭ってきたからでしょう。

 

不動産価格の査定にしても、売却依頼を任せてもらいたいがために、査定価格をあえて高めに出すようなこともまかり通っています。

 

売却依頼、つまり売買仲介を任せてもらって取引が成立すれば、仲介手数料を得られます。売り手に提示した査定価格で売却しないといけないわけではありませんから、売り手に期待を持たせるためにまず高めの査定価格を提示し、売り手を引き付ける。

 

そして、売買仲介を任せてもらったら、その価格で市場に出しても買い手が見つからないのを理由に、次第に売却希望価格を引き下げて買い手を見つけ、取引成立に持ち込めばいいのです。

 

売り手にとっては市場で売却できそうな価格であるはずの査定価格を、このように顧客獲得の手段として利用されてしまっては、「だまされた」と不信感を抱くのも無理はありません。

 

しかし一方で、そうしたマイナスイメージを何とか払拭しようという取り組みも業界内で見られるようになってきました。

 

国主導で手を付けたことといえば、「宅地建物取引士」の創設がそうです。これまで「宅地建物取引主任者」と呼んでいた業界内の資格者の呼称を2015年4月からこのように改め、弁護士や公認会計士などと同じ「士業」に位置付け直したのです。

 

資格者に対する信用を高めたいという狙いも込められているようです。不動産価格の査定では、売り手への利益還元も見られます。

 

不動産会社が売買仲介を任せられてから一定の期間内に売却できなかった場合、まず査定価格の90%を上限に自社で不動産をいったん買い取り、それを第三者に再販売できた場合、その差額から買い取りや再販売に掛かった経費を差し引いた金額を元の売り手に還元する、という仕組みです。

 

再販売による利益を元の売り手に還元してしまうわけです。こうしたサービスを提供することで顧客からの信用をつかみ取り、取り扱い件数を増やしていこうという狙いでしょう。

 

この場合は利益100%の還元ですが、顧客への利益還元としては80%でも50%でもいいわけです。いわば利益をシェアするという発想です。先ほど、賃借人との間で立ち退き交渉に臨むときには相手を共同事業主と位置付ける、という考え方を紹介しました。これもまさに、利益をシェアする発想です。

 

不動産の世界ではこうした考え方が、とりわけ顧客との関係で求められています。冒頭に挙げたように、高めの査定価格で顧客を確保した挙げ句、誰でも売却できるような価格でしか買い手側とマッチングできないということでは、顧客の不動産を利用するもののそこに何の付加価値も提供することなく、仲介手数料という収益を上げている、と考えられても仕方ありません。

 

これでは人のふんどしで相撲を取るようなものです。売り手への利益還元サービスには、不動産の売買仲介業務はそれではいけないという自戒の念も込められているのでしょう。

 

旧来の業界慣行に縛られることなく、不動産の売買仲介というサービスと仲介手数料というその対価との適切な関係を築こうとする、そういう誠実な姿勢を持っているか否かも、パートナーとして安心して組める相手か否かを見極めるポイントの一つです。